孤独を求めて中津川に

 先日、気分をリフレッシュするために小旅行に行きました。元々僕は極端なインドア派なので、旅行という行為自体好きではないのですが、その僕が突然一人で旅に出たのは、おそらく精神的ストレスが限界に達しようとしていたのを自ら無意識に感じ取っていたためでしょう。

 行き先は岐阜県中津川市でした。実はこの町には一度、小学生の時に学年全体が参加する学校の自然体験合宿で訪れたことがあります。当時は行きたくもないのに参加をさせれてとても嫌な思いをしました。ですから中津川はあまり僕にとっていいイメージのある町ではなかったのです。それなのになぜこのような苦い思い出が眠る場所を行き先に選んだのかといいますと、それはやはりあれです。リベンジです。アベンジャーです。大人になった僕にはもう怖いものなんてないのです。当時と違って自由にホテルの自販機で酒だって買えます。好きでもない連中と風呂に入ったり、枕を並べて一緒に眠る必要もないのです。そう、僕は中津川のホテルで酒をかっ喰らいスマホでエロ動画を見ながら寝ることで、当時のツライ思い出、そして親の仇より憎い集団行動という文化に引導を渡すことができるのです。まぁブログなので大げさに書きましたが、中津川は家からもそう遠くないし静かそうでいいかな、と思ったのも理由の1つです。

 では、旅行当日のことを話したいと思います。ホテルの予約(素泊まり)を前日にし終え、当日にコンビニでお菓子やパンを買い込んだ僕は駅に向かいました。実は中津川は僕の住む町から県外にあるのですが最寄りの駅から電車1本で着いてしまいます。うとうとしながら電車に揺られていた僕は気がついたら終点の中津川駅にいました。でもいいんです、これで。電車の中なんて自分以外にも乗客がいて意識明瞭ならイライラするだけなんですから。僕はとにかく独りになりたいのです。

 電車を降りてホテルへの送迎バスに乗ります。レツゴー。しかしこのバスの運転手、意外と山道を飛ばします。僕は平静を装いながら、貴様が間違ってガードレールを突き破って落ちたら、このどこか知らんど田舎の山道の谷底に転がっていくんやぞと、心のなかで運転手につめよります。しかし僕の心とは裏腹にアクセルをベタ踏みし続けた運転手です。でもまぁ、一応無事にホテルへ僕と同乗していたもう一人のおじさんを届けてくれました。

 チェックインです。実は一人でホテルに泊まるのは初めてです。ラブホに一人で入ったことはありますが自動精算だったのでノーカンということにしておきます。受付の男性は丁寧に館内の設備などを教えてくれました。マニュアルなのでしょう。同じことが部屋にある冊子にも書いてあります。説明を真面目に聞かなくても同じことでした。いや、そんなことより誰もいない部屋に僕独りです。いいですなぁ、独りは。一人でいて辛いのは女連れの男を見るときだけです。女を連れて歩く優越感のほかに一人の良さに敵うものはないのです。その一時の優越感のために男は人生をかけて競いあってるんだから競争を降りた僕からすれば噴飯ものです。まぁ、多分向こうも同じように僕を見ているでしょうが。

 ホテルを出て周囲の遊歩道を歩きます。素晴らしい。ランニングしてる女性が一人いるのみです。川が流れているのですが水も僕の町とは比べられないほど澄んでいます。
f:id:bedroom_dance:20180204225314j:image

その時、もしかしてここに住めばこの幸せな気持ちを一生味わえるんじゃないの?との期待が頭をよぎります。しかし僕もバカではありません。田舎の濃密な人間関係に付き合えるスキルなど僕は持ち合わせていないことくらいわかっているのですよ。ふっ。いつでも電車で来ればいいんです。田舎なんて。

 部屋に戻り館内の自販機で酒を買い飲みます。平日の昼間に旅行先で酒を喰らう無職ほど反社会的な勢力がいるでしょうか。飲みながら、思い出、社会システム、将来への不安、全てに絶縁状を叩きつけます。俺は自由だ。客観的に見るとたかが小旅行でここまで調子に乗れる僕も安い男です。

 館内を見回って気づいたのですが、このホテルには居酒屋があります。
f:id:bedroom_dance:20180204230610j:image

僕は思いました。このチープさスナックヤマトではないかと。
f:id:bedroom_dance:20180204230801j:image

結局行きませんでした。ラーメンなど軽食が食べられるようです。どんな味か気になる。ただ期待したらダメな感じはすごいしました。

 まあこんな感じでこの後お風呂に入って寝ました。そして朝起きてまた散歩して、バスで峠を攻めて帰路に着きました。中津川には馬籠という江戸時代の風情を残したフォトジェニックな町もあったのですが僕の目的は静養だったので、今回はパスしました。いやぁそれにしてもあの誰もいないホテルの周囲の散策路。こーいうのでいいんだよってやつだね。一人になれて大満足の小旅行でしたよ。一人で旅行に出るのは初めてだったけど、これを期にさらなる孤独を求めて旅に出たい、中津川はそう思わせてくれました。結局リベンジっていうか、殴りあった後疲れ果てて二人ならんで空を見上げてる、そんな感じになりました。まぁ、いいや。リベンジとか適当に言っただけだし。それではまた。